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【築30年の再生】既存のバスタブを活かし、あえて「総タイル張り」で蘇らせた温故知新の浴室リノベーション

築30年の住宅リノベーションと聞くと、多くの人が古い浴室を解体し、最新の「ユニットバス」へ丸ごと交換する工事を想像するでしょう。しかし、今回ご紹介する浴室のリノベーションは、全く異なるアプローチをとっています。それは「30年間使い続けた既存のバスタブを残し、周囲のタイルだけを全面貼り替える」という選択です。すべてを真新しくするスクラップ&ビルドの時代において、この空間が私たちに教えてくれる「残すことの美学」とは何でしょうか。

30年の時を経た「ミントグリーンのバスタブ」を主役に据える 空間の中心に鎮座するのは、築30年の歴史を刻んだミントグリーン(淡いブルー系)のバスタブです。このバスタブを交換せずに残すという決断が、結果として空間にかけがえのない「個性」と「レトロな魅力」を与えています。新しいタイルの中に古いバスタブが置かれることで、単なる古い設備ではなく、ヴィンテージ家具のような存在感を放つ主役へと昇華されているのです

新旧を調和させる、クリーム色とアースカラーの包容力 既存のバスタブを活かすために選ばれたのは、壁一面の艶やかなクリーム色の正方形タイルと、足元に敷き詰められたアースカラーの床タイルです。もしここで真っ白なタイルを選んでいたら、古いバスタブだけが浮いてしまっていたかもしれません。しかし、柔らかく温かみのあるクリーム色とブラウン系のトーンを選ぶことで、30年前のバスタブと真新しいタイルが見事に調和し、まるでリビングのように落ち着く「包み込むような温もり」を生み出しています
職人の手仕事が生み出す「静謐なグリッド」 壁面に整然と貼られたタイルの目地が作り出す幾何学的なグリッドは、空間に深い静謐さを与えています。画像に見える突き出した黒い配管は、まさに水栓金具が取り付けられる前の「施工中」の証ですが、ここにも職人の精緻な手仕事が光っています。既存のバスタブや窓枠のサイズに合わせて一枚一枚丁寧にタイルを割り付け、水平・垂直を狂いなく貼り上げていく技術は、規格化されたパネルには決して真似できない職人技の賜物です。
光を操り、空間をアップデートする 縦長の窓やルーバー窓(ジャロジー窓)から差し込む自然光が、真新しいクリーム色のタイルの表面に柔らかく反射し、空間全体を明るく照らし出しています。すりガラスの入った白い折り戸も、この光に満ちた空間のトーンと調和しています。設備(バスタブ)は古くても、光を反射する「面(壁・床)」を一新することで、空間全体の印象がここまで明るく清潔感に満ちたものになるという事実は、リノベーションの大きなヒントになります。
私たちが現代の住まいで見直すべきこと 私たちは「最新の設備」を追い求めるあまり、今あるものが持つポテンシャルを見過ごしてはいないでしょうか?築30年のバスタブを活かし、職人の手による総タイル張りで空間を蘇らせたこの浴室は、効率化一辺倒の現代に対する静かなアンチテーゼです。
【まとめ】 すべてを壊して新しくするのではなく、愛着のあるものを残し、周囲をアップデートする。クリーム色の新しいタイルと、30年モノのミントグリーンのバスタブが織りなすこの浴室は、現代の規格化された空間にはない、普遍的な美しさと「真の豊かさ」を私たちに提示しています。



阿久津 一志
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