左官との出会い
父は左官職人で、物心ついた頃から、その背中を見て育ちました。鏝一本で大きな壁を平らに仕上げていく姿には、職人としての誇りと美しさがあり、いつしか憧れを抱いていたのを覚えています。
「いずれは父に仕事を出せるような人間になりたい」そんな想いから、ゼネコンに就職し、橋梁や建築構造物の設計に携わりました。しかし、父が病に倒れたのをきっかけに、家業を継ぐ決意を固めました。
今までの道のり
私が左官の道へ進んだのは、20歳のときでした。職人としては少し遅いスタートだったかもしれませんが、一級左官技能士の資格を取得するため、6年間必死に修業に打ち込みました。決して平坦な道ではなく、技術を身につけるまでには多くの苦労と挫折がありました。けれど、あの時の努力が、今の自分をつくってくれたと確信しています。
左官は、ただ壁を塗るだけの仕事ではありません。素材、気候、仕上がりの美しさ、すべてに心を配り技を尽くす。非常に奥の深い世界です。だからこそ、思い描いた通りに仕上がった瞬間や、お客様に心から喜んでいただけたときの感動は、何ものにも代えがたいものがあります。大変な仕事ですが、それ以上にやりがいに満ちた、誇りある仕事です。
今後について
「伝統の技と現代の感性を融合させ、住まいから文化財に至るまで、未来へと続く価値を創造すること」それが私たちの使命です。
そしてもう一つ、これからの時代を担う左官職人を育てていくことも、私たちの大切な責務だと考えています。壁の匠から、いずれ日本一の左官職人を輩出する。その日を目指して、情熱と技術を次世代へ継承してまいります。
資格
とちぎ左官マイスター/一級左官技能士/登録左官基幹技能者